四方を自然に囲まれた鎌倉の地。
時間を遡ること数百年、この地に戦の本拠地を築いたのは、かの有名な「源頼朝」である。
それほど歴史に詳しくない方でも、彼が共に戦った戦友であり兄弟であるはずの「源義経」と袂を分かち、彼を破滅へと追い込んでしまった史実をご存知の方は多いのではないだろうか。
鎌倉の地で、この兄弟に想いを馳せるとき、「変わらぬ思いを胸に、一緒に居続けることが出来る」のは本当に恵まれたことなのだろうと、強く思う。
時は現代に戻り、求肥のように柔軟な絆で結ばれている我々『いちご大福委員会』は、そんな恵まれた集いなのだと、私は信じている。
・・・とはいったものの、我々もいちご大福への愛ゆえに、分かり合えないこともある。
心は一つだが、一枚岩ではないのだ。
今回は、とある役員二人のやりとりと一緒に、鎌倉の地で味わえる、選りすぐりのいちご大福を4つ紹介していきたいと思う。
1.ラッピングが可愛らしい、『大くに』のいちご大福
画像出典:※Instagram @wagashi_ohkuni さんより
「求肥と餡があまいのだから、いちごだって甘くなくては!」と。
すると、別の役員はこう言う。
「いや、求肥と餡が甘いからこそ、いちごの酸味が活きるのだ!」と。
私は個人的に後者の役員の肩を持ちたいところだが、この均衡を崩したくないので、沈黙を貫くこととする。
味や見た目で意見が割れるこんな2人も、一致していることがある。
それは「いちご大福は可愛らしくあるべき」ということ。
可愛らしくないいちご大福など存在しない・・・ような気がするのだが、これは既に私が彼らの影響を受けてしまっているためだろうか?
可愛らしいいちご大福で印象に残っているのは、『大くに』のいちご大福だ。
いちご大福自体の見た目は普通なのだが、そのラッピングが可愛らしい。
初めて見たとき「苺がそのまま、入っているのでは」とまで思ったほどだ。
初めてこのいちご大福に出会った際には、いちご大福委員会役員でなかったため、記録写真を忘れるという下手を打ったのが悔やまれる。
2.ちょこんと見える苺の赤が、雪うさぎのよう♪『桃太郎』のいちご大福
画像出典:※Instagram @kamakura_rin さんより
あんこは丹波の大納言を使うなど、素材にこだわり、地元っ子や、遠方のファンも足しげく訪れる、老舗だ。
夏のイメージが強いこの海沿いだが、ここのいちご大福はまるで雪うさぎのようである。
白い餅生地に、さっぱりとした白あん。
そして切る前からうっすら覗く、苺の赤がちょこんと見えるのは、なんとも言えない愛らしさ。
食べるのがもったいない。
お財布に優しいお値段も、嬉しいポイントだ。
ぜひもう一度訪れたいお店である。
3.ちょっと番外編*食べ歩きにぴったり!『さくらの夢見屋』のいちご団子
画像出典:※Instagram @mikurukuru さんより
たくさんのお店が軒を連ねている中で、食べ歩きにぴったりな団子が。
もっちもちの生地に、餡やタレがたっぷりのった団子は、何本も食べたくなってしまう。
いちご団子は、その見た目の可愛らしさからも「インスタ映え」にぴったりのようだ・・・。
ぱくぱくと食べやすく、ついもう一本手が伸びてしまった。
4.大きな苺を大胆にのせた『鎌倉壱番屋』のいちご大福
画像出典:※Instagram @s.sayaka0402 さんより
ある会員は言う。
「求肥と餡といちごが一緒に在れば、それは既にいちご大福だ。何かが何かを包んでいる必要などない」と。
それを聞いた別の会員は言う。
「いや大福という名である以上、いちごと餡はしっかりと求肥に包まれていなければ」と。
顔を合わせるたびにそんなやり取りを始める2人を傍目に、私は店頭にずらりと並んだいちご大福を眺める。
大福から落ちそうなほどの、真っ赤な大粒の苺がのっている。
よく見てみると、餡にはいくつか種類があるみたいだ。
カスタード、抹茶餡、つぶあん・・・。
よし、このつぶあんにしてみよう。
日本史に疎い私は「源兄弟が袂を分つキッカケは何だったか…?」と思いを巡らせつつ、餡の上に可愛らしく佇むいちごをひょいと摘み、口に運んだ。
すると先ほどまで睨み合っていた2人は口をそろえてこう言うのだ。
「「いちごだけ食べるな!!」」
も、もうしわけない。
可愛らしかったもので、つい。